広島の砂マンダラ

2004年11月28日 (日)

砂マンダラ@宮島の大聖院(第3回=最終回)

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部屋の隅っこのほうでは、気配を消したようなアムド・チャプチャ出身の坊さんが家具?に一心不乱に紋様を描いています。この畳敷きの純和風な部屋全体が、壁も天井もチベカラーに塗り替えられるまで長い長い道のり。チャンパ・トンドル(弥勒大仏)がまつられて再来年、完成するそうです。

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長い時間をかけて丁寧につくる砂マンダラですが、完成の儀式をした後、ホウキで掃いて水に流してしまうのがお約束です。
形あるものは、いつかは滅びる
——これぞ仏教
って感じでいいじゃないですかー!
けれど、最近は樹脂で固めて展示用に保存することもあります。大聖院でも、去年の薬師如来、一昨年の観音菩薩の砂マンダラが展示されてます。
“諸行無常”的には、そこはかとなく違和感が漂うわけですが……

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何でも見世物にしてしまう“ものわかりのよさ”は“堕落”でしょうか?
残すことにこだわるのはよくないが、壊すことにこだわるのもナンセンス。もし信仰心の支えになるのなら、残しておくのもいいだろう」
カムで会ったあるラマは(英語で)そう言ってました。
「残さないほうが仏教らしい? それは外国人のセンチメンタリズムってもんだ。はっはっは」
何かにつけてああ言えばこう言う理屈っぽいチベット人の坊さんらしい話の持ってき方ではあるよな。
といって思いつきでそう言ったわけじゃなくて、もともと色砂でマンダラをつくること自体は仏教以前のインドの風習で、込み入った儀式・パフォーマンスや理屈は後から付けられたものだという経緯をふまえた上でのお話でした。大切なのは動機のようです。

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部屋のラジカセからは、近年チベット圏で大流行の“オムマニペメフム”の歌(Tibetan Incantations)が流れてました。ムードを出そうとしてくれたんでしょうか(笑)

マンダラは無事(当然)完成法要に間に合ったそうです。
おつかれさまでした♪

(おわり)

※おっと、付け足しみたいになって申し訳ないですが、これら一連のチベット仏教関連の行事はすべて、デプン僧院ゴマン学堂の伝統を日本に伝える文殊師利大乗仏教会の尽力によるもの。マンダラ制作にたずさわったのは、日本ではじめてのチベット仏教寺院である、広島・龍蔵院のデプン・ゴマン学堂日本分院の僧侶たちです。

※砂マンダラ制作の模様は、去年や一昨年の分も含めて大聖院の公式サイトで詳細にご覧になれます。

2004年11月27日 (土)

砂マンダラ@宮島の大聖院(第2回)

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もうほとんどできてるじゃん!
ってそれもそのはず。
完成法要(11/21)の3日前なんだから、できてなきゃ困ります。
しかしこの一番外側こそ大変そう。
間に合わなかったらどうするんだろう?
言い訳その1「完成直前に日本人が邪魔しに来た」、
その2「夜中にネズミが…」

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部屋の中には坊さんが4人いて、
畳の上に這いつくばって砂マンダラをつくっていたのは3人。
役割分担があるようで、まずベタ塗り担当の坊さんが黒い下地をつくります。彼だけネパール生まれで、他は本土から逃げてきた組。

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黒地の上に色つきの模様を描くのはリタン出身のよく喋るカムパの坊さん。さらに細かい図案を別のアムド出身の坊さんが描いて仕上げます。
遠くから見ると平面に見えますが、近くで見ると砂がこんもり盛り上がっていて、かなり立体感あって(・∀・)イイ!。
ちなみに今回つくっているのはドルジェ・ジグジェ(怖畏金剛尊)の住まうマンダラです。

(つづく)

※砂マンダラ制作の模様は去年や一昨年の分も含めて大聖院の公式サイトで詳細にご覧になれます。

2004年11月26日 (金)

砂マンダラ@宮島の大聖院(第1回)

もう先週のことですが、11月18日、突然、広島に行ってきました。
海に浮かぶ鳥居で有名な宮島に大聖院という真言宗の寺があって、そこでチベット人の坊さんたちが砂マンダラをつくっているというんでちょっとひやかしにお参りしに。
世界遺産・厳島神社は(チベットにいたから後で知ったんだけど)今年の台風で大きな被害を受けていて、修復は進んでいるものの、能舞台なんかはかなり痛々しいままの状態でした。

神社の境内を抜けて、ところどころ色づいている紅葉を仰ぎみながら小道をゆくと、ひんやりとした空気の中を何やら白い霧のようなものが下りてきます。なかなか雰囲気あります。が、「クリーニング屋でもあるんじゃねーの?」と言っていたら、本当にクリーニング屋から出る湯気だったりして^^;

mandala01_manikhor.jpgとまあ、そんなことはいいとして、宮島弥山大本山・大聖院の入口(仁王門っていうんですか?)の階段といえばお約束、マニ車ですね。「大般若波羅蜜多経」という文字がありますが、中にお経は入ってるんでしたっけ? ていうか小さくて回しにくいです。日本人が作ると、何でも地味でちんまりしたシブくて細工の細かいものになりますね〜。

mandala02_daruma.jpg砂マンダラをつくっているのは観音堂です(たぶん)。靴を脱いで上がると、おっと、なんだこの目つきの悪い達磨は! どこ見てるんだろう? ……これは「目出しダルマ」といって、「目が出る→芽が出る」という単なるダジャレ縁起物だそうな。他にも笑えるありがたい小物がたくさんあるようですが、なにせ、のぞみ自由席に座るために新横浜で1時間も待っていたため到着が遅くなり、急がないとマンダラ作業が終わってしまうので、ただちに堂内へ。

mandala03_calm.jpgやってるやってる!
カリカリカリカリ——開けていいんだかいけないんだか微妙に開いたふすまの向こうから砂マンダラ用の砂落とし筒(?)を擦る金属音が。
ちなみにお堂の中心には一昨年つくられた大きな観音菩薩の砂マンダラ、右手には去年つくられた薬師如来の砂マンダラがガラスケースに守られて、まつられています。
さて、さっそく制作現場にお邪魔です。

(つづく)

※砂マンダラ制作の模様や大聖院についての真面目な詳細は大聖院の公式サイトですべてご覧になれます。

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