【追悼】ラサのタシ・ツェリン氏(2014年12月5日・享年85歳)
既報の通り、チベットの教育に貢献したタシ・ツェリン氏(ナムリン出身)が2014年12月5日、85歳で亡くなった。どんな方だったのか、かつて協力させていただいた「ナムリン学校プロジェクト」のページに長々と書いてあるので、リンクを貼っておく。
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http://www.tibet.to/project/right/tashitsering.htm
が、長いので乱暴に要約してみると……
▼1929年、学校もないチベットの村に生まれ、家畜の世話をして過ごす
▼10歳のとき、村に課せられた賦役としてダライ・ラマ法王の宮廷舞踏団に抜擢され、ラサへ
▼なんとか下級役人にのし上がる
▼商人たちの外国の話に刺激され、インドのカリンポンに渡って英語を勉強
▼そうこうしてる間に中国軍がチベット侵攻。インドにとどまり、法王の兄のもとで難民支援活動
▼米ワシントン大学に留学。せっかくアメリカに行けたのに…
▼1964年、社会主義によって貧富の差のないチベットを実現できると信じて中国へ
▼案の定、文化大革命で投獄
▼名誉回復後、英語・チベット語・中国語辞書の編纂や教職などに従事
▼1985年、ラサに英語学校を開講
▼1986年、私財で故郷に学校を開校。以降、学校建設や地方教育支援のNGO活動を展開
▼2014年没
長年にわたって中国とオトナの関係を保ってきた絶妙なバランス感覚から、毀誉褒貶いろいろあったはずだ。だが、タシ・ツェリン氏が建てた60以上の学校で何千人もの農牧区の子どもたちが教育の機会を得ているのは事実だ。氏は(本来の意味での)科学的な共産主義者であると公言していたし、信仰心は持っていなかったので、「ご冥福を」はどうかと思うが、敬虔な仏教徒である奥さんによって、きっと純チベット式に送られたことだろう。
ご冥福をお祈りいたします。合掌。
あ、ついでに『The Economist』の追悼記事
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Obituary: Tashi Tsering
Between two worlds