【本】『潜入ルポ 中国の女』(福島香織=著)
『潜入ルポ 中国の女』
福島香織=著 文藝春秋=刊
前回のツェリン・ウーセル氏の記事を書いているときに、ふと思い出したのがこの本。女性を軸に中国の今を描いた本書の第三章「女強人(女傑)の擡頭」の中で、“「私は民族主義者」と漢語で語るチベット民族主義者”としてウーセル氏が紹介されている。“ふと思い出した”というのは、本書に登場する数々の「苦海で生きる女」たちの印象がいずれも鮮烈すぎて、ウーセル氏について書かれていたことを半ば忘れてしまっていたからだ。
そういえば、ウーセル氏が日本のメジャーな媒体できちんと紹介されたのは、本書が初めてだったと思う(たぶん)。著者・福島香織氏は2008年3月の「チベット騒乱」のさなか、怒濤の情報発信を続けるウーセル氏に注目し、自身のブログで翻訳紹介してくれていた。本書では15ページほどにわたって、ウーセル氏の生い立ちや王力雄氏との出会い、北京で軟禁に至る経緯などが、実際に本人に会った際のやりとりを軸に綴られている。
このブログはチベットの話題に特化した「チベット式」なので、ここではひとまずウーセル氏にしか触れない……で終わろうと思ったが、本書の他の部分で書かれている「苦海」に、すでにチベタン女子も巻き込まれいるうえ“少数民族”という追加のハンデまで背負わされているという、なおさらひどい状態にあるのだ、とだけ書いてみた。
p.s.
『中国の女』ならぬ、映画『チベットの女 イシの生涯』のDVDは、残念ながらもう絶版なんですね。。
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