中国の武装警察が、チベット最古の僧院で仏像を破壊
今日はダライ・ラマ14世の誕生日だというのに悲しいニュース。
チベット最古の僧院サムイェ寺の高さ約9メートルの仏像を、中国の武装警察が破壊した。
NGOチベット人権民主センター(TCHRD) が第一報を伝えた。
↓
Colossal Guru Rinpoche's statue demolished in Tibet: China's new religious affairs regulations for "TAR" entered into force(2007/6/4)
破壊されたのは、チベット最古の僧院サムイェ寺のグル・リンポチェ(インドの聖者パドマサムバヴァ)の像。中国広東省の2名の漢族信者から約80万元の寄進を受けて建立されていた途中で、ほぼ完成していたという。高さは約9メートル。
5月半ば、人民武装警察の部隊がやって来て仏像を破壊し、破片(金・銅メッキ)をどこかへ持ち去った。
[写真は1月に撮影された、壊される前の仏像(上記TCHRDのサイトより)。クリックすると拡大できます]
チベット自治区では今年1月から、宗教に関する新しい法令が施行されており、この仏像破壊は
「宗教組織や宗教施設に所属していない団体や個人は、目立つ仏像や仏塔、施設を許可なく作ってはならない。作った場合は破壊してよし」(意訳)という条項に則っているそうだ。
[写真はラサの寺院に残る壊された仏像の破片(記事とは関係ありません)]
サムイェ寺といえば8世紀に建てられたチベット最初の僧院。敷地全体が巨大な立体マンダラを模していることで知られる聖地であり、パッケージツアーのコースにも入っていることが多い。
仏像があった場所は記事からはよくわからないが、そう広い場所ではないので、上の写真でだいたい見当がつきそう。
左の写真は同じサムイェ寺の本殿内にある忿怒の形相をしたグル・リンポチェ像だ。チベット人に最も親しまれている尊格のひとりだが、怒らせたら怖そう。
話が違うが、外国人がチベット自治区に入るのに必要な入域許可証の発行システムが変わったそうで、
ますます自由な旅行がしにくくなりそうである。
ここ数年規制が緩みっぱなしだったのだが、
チョモランマでデモられてしまった事件が効いたらしい。
この件はまたあらためてお伝えするかもしれない。
というわけで、今年チベットで災いが起こったら、コレのせいってことになるだろう。
もしかしたら、見えないところで、すでに着々と起こっている最中なのかもしれない。
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