チベット人の動物愛護イベントを(案の定)中国が弾圧
オリンピックを前に野生動物保護を必死に訴えているかにみえる中国だが、本音はどうなのだろうか?
大切な民族衣装を焼いてまで動物愛護への決意を示そうというチベット人が自発的に行なったイベントに、中国当局が中止の通達を出した。
すぐ直前の記事「毛皮なんて恥ずかしい! チベットの民族衣装に大異変!? ていうかダライ・ラマの影響力は絶大。」でお伝えした通り、チベット・アムド地方(中国青海省同仁県)のロンウォ寺(隆務寺)を中心に、チベット人が本来大好きな毛皮を集めて燃やしてしまおうという自発的なキャンペーンが進行していた。
2月12日、現地の暦で正月15日の吉日にクライマックスを迎えるはずだった。
中国当局は当初静観していたが、妙に盛り上がっているのを見て、本当の矛先がいずれどこに向くのか本能的に察知したのだろうか?
イベントを禁止する通達を出し、地元幹部には口頭で「参加したらクビだから」と言い渡した。よほど多くの幹部が参加するつもりだったらしい。
ありがたいお寺で毛皮を焼いてもらう気満々ですでに多くの人々がロンウォ寺に向かっていたが、町に着いてみて通達を知り、仕方なく村に帰る途中で自分で燃やした者もいた。
警察および近隣の基地から軍も動員されて警戒にあたったという。
チベット人たちが突然動物愛護に目覚めたのはダライ・ラマ法王の説法が効いたからだ。
中国当局の気に障らないわけがない。
もともと「今は畜生だけど、前世では自分の母親だったかもしれない」という輪廻転生を信じるチベット人であるから、動物の命を慈しむメンタルな素地はある。ただ実践がほとんど伴っていなかっただけだ。法王の言葉でようやく目覚め、アクションを起こしたのである。
毛皮さよならキャンペーンはすでにアムドからラサやカム(東チベット)にも広まりつつあるという。
[写真は悪い例]
中国人がいくら誠心誠意チベットの役に立とうとしても疑いの目で見られるのと同様、チベット人が何か始めると、中国当局はダライ・ラマが裏で糸を引いているのではないかと疑心暗鬼になる。
まあ実際けっこう引いているわけで(笑)今回は法王の影響力を示すデモンストレーションとして大いに役に立った。
古くはツォンカパ大師、そしてパンチェン・ラマ10世とダライ・ラマ14世を生んだ地だけあって、じわじわと理詰めでねちっこく攻めるのが得意なアムドのインテリチベット人たちは実はあれこれ深謀遠慮を巡らせているのかもしれない。次はどんな手を打ってくるのか楽しみだ。
元記事(英語)はこちら↓(画像あり)
Burning of wildlife skins prohibited as tensions rise in Rebkong(TibetInfoNet)
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