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2005年2月26日 (土)

チベットもの番組の“お約束”@「中国の桃源郷シャングリラ伝説」

「中国の桃源郷シャングリラ伝説」(テレ朝系「アジアへGO!」)が放映された。
東幹久が中国四川省の“幻の桃源郷”シャングリラを訪ねるというもの。
“中国の”と言ってはいるが、もともとはチベットのカム地方だ。
景色は確かにキレイだったが、さっそく中身をチェック!
[番組そのもの、シャングリラという言葉についてはアジアへGO!公式サイトをどうぞ! ロケ日記や壁紙もあります]

期待通りだった(笑)。
▼大げさな表現(道が険しい。立ち入りが禁止されていた未知の世界)
▼地名の間違い(「この峠を越えると、ここから先はチベット自治区」)
▼定番の高山病ネタ
一部のチベットものテレビ番組に脈々と受け継がれる定石を見事に踏まえてくれている。

一番気になったのは、のどかな草原やら動物やら子どもやらの姿に重ねるナレーション。
「すみわたる青空 何ものからも邪魔されない ストレスとは無縁の 穏やかな暮らしが そこにはありました」
……大きなお世話である。“100%他人事”感あふれる紋切り型。

あと高山病ネタは何とかならないものか。
無理なスケジュールのロケで高地適応に失敗してる例を毎回見せられたひにゃぁ
チベットに行ったら必ず高山病になると誤解されかねない。
...まぁ実際結構なるけど(笑)

他、マニアックなチェックとしては、
▼新都橋の金歯屋で、カムパが金歯を光らせて「タシデレ」と言っていたのが微笑ましかった。
▼ダッパ(稲城)の町にあったシャングリラの方向を示した道路標識に
香格里拉という中国名と並んで書かれたチベット名は「シャンバラ」
噂には聞いていたが、やはり公式にシャンバラと混ざってしまったか!
シャンバラは密教経典カーラチャクラ・タントラに出てくる理想郷。同じフィクション?でもシャングリラとは(チベット人にとって)次元が違うと思っていたのだが。
▼一番最後、村のおじちゃんのチベット語の喋りで「理想郷」と訳されている部分、実際は「観音菩薩のリクスムゴンポ(三護法尊)の生地」と言っている。
公式サイトの壁紙にもある美しい雪山の名はチェンレースィ、つまり観音菩薩という。隣りの2つの山ジャンペーヤン(文殊菩薩)、チャナ・ドルジェ(金剛手菩薩)とセットで三菩薩の聖地。17世紀、ダライ・ラマ5世からダッパ・ラリ(ダッパの聖山)という名も賜っている。

シャングリラ「アジアへGO!」公式サイトにも書いてあるが、一般にシャングリラといえば雲南省のシャングリラ(香格里拉)県が有名だ。
今回の番組で訪ねたのは、四川省稲城県の香格里拉郷の亜丁村周辺。
シャングリラの範囲はさらに拡大解釈されて、周辺地域一帯が「大シャングリラ」と称されるようになっている。
どうせ元がフィクションなんだから、ウチにも観光客を寄越せ!というわけか。
[写真は中国の雑誌『中国国家地理』の「大シャングリラ」特集号と付録のマップ]

中国ではすでに有名な“秘境”。
行くんなら今のうち! だと思う。

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