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2004年10月18日 (月)

ダライ・ラマ法王のカーラチャクラ灌頂が動画で見られる

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ダライ・ラマ14世によるカーラチャクラ灌頂(トロントで行なわれた「カーラチャクラ2004」)の模様が動画でたっぷり見られます。ソニーのブロードバンドサイト"World Event Village"のコンテンツです。

http://www.worldeventvillage.com/ja/special/CAN10009/vol01/index.php

「カーラチャクラ」とは「時間の輪」。インド仏教の密教経典(タントラ)の名です。この教えを実践すれば、理想の仏教国“シャンバラ”へ転生できると言われています。インドで最後に成立した、密教が到達した究極のタントラと言えるでしょう。

亡命中のダライ・ラマ14世は1〜2年に一度、カーラチャクラの大灌頂(かんじょう)の儀式を世界各地で行なっています。灌頂というのは、その教えとの“縁”を結ぶための入門の儀式のこと。密教の灌頂には資格や人数の制限があるのが普通ですが、カーラチャクラの灌頂はだれでも受けられるのが特徴です。異教徒でさえ、“シャンバラ”との縁を結ぶことができるのです。

「世界平和のため」(for world peace)——近年のカーラチャクラ灌頂で定番となった“サブタイトル”です。でも実はカーラチャクラ・タントラは、インドで滅びつつあった仏教の断末魔の叫びのように生まれた教えです。イスラム教徒との対決姿勢を露わにし、“最終戦争”の予言までした物騒な書です。あまり世界平和っぽくはありませんが、パワーはあるかもしれません。そのおかげかどうか、仏教は発祥の地インドから姿を消した後、チベットで生き延びることができました。

ダライ・ラマ14世はカーラチャクラ大灌頂をすでに30回近く行なっています。地球規模での“シャンバラ”との縁結びが必要だと切実に感じているからでしょう。それは、地道に種をまくようなものです。巨大な会場にうごめく人波や、なんだか我慢大会のような長時間の込み入った儀式、病的に緻密な砂マンダラ——これらから受ける印象は、“穏やかな祈り”というより“イザとなったら質より量”です。1滴1滴の雨粒も、川になり、海となって、やがて大陸を包囲します。

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